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アプリケーション

アプリケーションは Yii アプリケーション・システム全体の構造とライフサイクルを統制するオブジェクトです。 全ての Yii アプリケーション・システムは、それぞれ、単一のアプリケーション・オブジェクトを持ちます。 アプリケーション・オブジェクトは、エントリ・スクリプト において作成され、\Yii::$app という式でグローバルにアクセスすることが出来るオブジェクトです。

情報: ガイドの中で「アプリケーション」という言葉は、文脈に応じて、アプリケーション・オブジェクトを意味したり、 アプリケーション・システムを意味したりします。

二種類のアプリケーション、すなわち、ウェブ・アプリケーションコンソール・アプリケーション があります。 名前が示すように、前者は主にウェブのリクエストを処理し、後者はコンソール・コマンドのリクエストを処理します。

アプリケーションの構成情報

エントリ・スクリプト は、アプリケーションを作成するときに、下記のように、 構成情報 を読み込んで、それをアプリケーションに適用します。

require __DIR__ . '/../vendor/autoload.php';
require __DIR__ . '/../vendor/yiisoft/yii2/Yii.php';

// アプリケーションの構成情報を読み込む
$config = require __DIR__ . '/../config/web.php';

// アプリケーションのインスタンスを作成し、構成情報を適用する
(new yii\web\Application($config))->run();

通常の 構成情報 と同じように、アプリケーションの構成情報は、 アプリケーション・オブジェクトのプロパティをどのように初期化するかを指定するものです。 アプリケーションの構成情報は、たいていは非常に複雑なものですから、通常は、上記の例の web.php ファイルのように、 構成情報ファイル に保管されます。

アプリケーションのプロパティ

アプリケーションの構成情報で構成すべき重要なアプリケーションのプロパティは数多くあります。 それらのプロパティの典型的なものは、アプリケーションが走る環境を記述するものです。 例えば、アプリケーションは、どのようにして コントローラ をロードするか、また、どこにテンポラリフ・ァイルを保存するかなどを知らなければなりません。 以下において、それらのプロパティを要約します。

必須のプロパティ

どのアプリケーションでも、最低二つのプロパティは構成しなければなりません。 すなわち、idbasePath です。

id

id プロパティは、アプリケーションを他のアプリケーションから区別するユニークな ID を指定するものです。 このプロパティは主としてプログラム内部で使われます。 必須ではありませんが、最良の相互運用性を確保するために、アプリケーション ID を指定するときには英数字だけを使うことが推奨されます。

basePath

basePath プロパティは、アプリケーションのルート・ディレクトリを指定するものです。 これは、アプリケーション・システムの全ての保護されたソース・コードを収容するディレクトリです。 通常、このディレクトリの下に、MVC パターンに対応するソース・コードを収容した modelsviewscontrollers などのサブ・ディレクトリがあります。

basePath プロパティの構成には、ディレクトリ・パスを使っても、パス・エイリアス を使っても構いません。 どちらの形式においても、対応するディレクトリが存在しなければなりません。 さもなくば、例外が投げられます。パスは realpath() 関数を呼び出して正規化されます。

basePath プロパティは、しばしば、他の重要なパス (例えば、runtime のパス) を派生させるために使われます。 このため、basePath を示す @app というパス・エイリアスが、あらかじめ定義されています。 その結果、派生的なパスはこのエイリアスを使って形成することが出来ます(例えば、runtime ディレクトリを示す @app/runtime など)。

重要なプロパティ

この項で説明するプロパティは、アプリケーションごとに異なるものであるため、 構成する必要がよく生じるものです。

aliases

このプロパティを使って、配列形式で一連の エイリアス を定義することが出来ます。 配列のキーがエイリアスの名前であり、配列の値が対応するパスの定義です。 例えば、

[
    'aliases' => [
        '@name1' => 'path/to/path1',
        '@name2' => 'path/to/path2',
    ],
]

このプロパティが提供されているのは、Yii::setAlias() メソッドを呼び出す代りに、 アプリケーションの構成情報を使ってエイリアスを定義することが出来るようにするためです。

bootstrap

これは非常に有用なプロパティです。 これによって、アプリケーションの ブートストラップの過程 において走らせるべきコンポーネントを配列として指定することが出来ます。 例えば、ある モジュールURL 規則 をカスタマイズさせたいときに、 モジュールの ID をこのプロパティの要素として挙げることが出来ます。

このプロパティにリストする各コンポーネントは、以下の形式のいずれかによって指定することが出来ます。

  • components によって指定されているアプリケーション・コンポーネントの ID
  • modules によって指定されているモジュールの ID
  • クラス名
  • 構成情報の配列
  • コンポーネントを作成して返す無名関数

例えば、

[
    'bootstrap' => [
        // アプリケーション・コンポーネント ID、または、モジュール ID
        'demo',

        // クラス名
        'app\components\Profiler',

        // 構成情報の配列
        [
            'class' => 'app\components\Profiler',
            'level' => 3,
        ],

        // 無名関数
        function () {
            return new app\components\Profiler();
        }
    ],
]

情報: モジュール ID と同じ ID のアプリケーション・コンポーネントがある場合は、 ブートストラップの過程ではアプリケーション・コンポーネントが使われます。 代りにモジュールを使いたいときは、次のように、無名関数を使って指定することが出来ます。

[
    function () {
        return Yii::$app->getModule('user');
    },
]

ブートストラップの過程で、各コンポーネントのインスタンスが作成されます。 そして、コンポーネント・クラスが yii\base\BootstrapInterface を実装している場合は、 その bootstrap() メソッドも呼び出されます。

もう一つの実用的な例が ベーシック・プロジェクト・テンプレート のアプリケーションの構成情報の中にあります。 そこでは、アプリケーションが開発環境で走るときには debug モジュールと gii モジュールが ブートストラップ・コンポーネントとして構成されています。

if (YII_ENV_DEV) {
    // 'dev' 環境のための構成情報の修正
    $config['bootstrap'][] = 'debug';
    $config['modules']['debug'] = 'yii\debug\Module';

    $config['bootstrap'][] = 'gii';
    $config['modules']['gii'] = 'yii\gii\Module';
}

補足: あまり多くのコンポーネントを bootstrap に置くと、アプリケーションのパフォーマンスを劣化させます。 なぜなら、リクエストごとに同じ一連のコンポーネントを走らせなければならないからです。ですから、ブートストラップ・コンポーネントは賢く使ってください。

catchAll

このプロパティは ウェブ・アプリケーション においてのみサポートされます。 これは、全てのユーザ・リクエストを処理すべき コントローラ・アクション を指定するものです。 これは主としてアプリケーションがメンテナンス・モードにあって、入ってくる全てのリクエストを単一のアクションで処理する必要があるときに使われます。

構成情報は配列の形を取り、最初の要素はアクションのルートを指定します。 そして、配列の残りの要素 (キー・値のペア) は、アクションに渡されるパラメータを指定します。例えば、

[
    'catchAll' => [
        'offline/notice',
        'param1' => 'value1',
        'param2' => 'value2',
    ],
]

情報: このプロパティを有効にすると、開発環境でデバッグ・パネルが動作しなくなります。

components

これこそが、唯一の最も重要なプロパティです。 これによって、アプリケーション・コンポーネント と呼ばれる一連の名前付きのコンポーネントを登録して、それらを他の場所で使うことが出来るようになります。例えば、

[
    'components' => [
        'cache' => [
            'class' => 'yii\caching\FileCache',
        ],
        'user' => [
            'identityClass' => 'app\models\User',
            'enableAutoLogin' => true,
        ],
    ],
]

全てのアプリケーション・コンポーネントは、それぞれ、配列の中で「キー・値」のペアとして指定されます。 キーはコンポーネントの ID を示し、値はコンポーネントのクラス名または 構成情報 を示します。

どのようなコンポーネントでもアプリケーションに登録することが出来ます。 そして登録されたコンポーネントは、後で、\Yii::$app->componentID という式を使ってグローバルにアクセスすることが出来ます。

詳細は アプリケーション・コンポーネント のセクションを読んでください。

controllerMap

このプロパティは、コントローラ ID を任意のコントローラ・クラスに割り付けることを可能にするものです。 デフォルトでは、Yii は 規約 に基づいてコントローラ ID をコントローラ・クラスに割り付けます (例えば、post という ID は app\controllers\PostController に割り付けられます)。 このプロパティを構成することによって、特定のコントローラに対する規約を破ることが出来ます。 下記の例では、accountapp\controllers\UserController に割り付けられ、articleapp\controllers\PostController に割り付けられることになります。

[
    'controllerMap' => [
        'account' => 'app\controllers\UserController',
        'article' => [
            'class' => 'app\controllers\PostController',
            'enableCsrfValidation' => false,
        ],
    ],
]

このプロパティの配列のキーはコントローラ ID を表し、配列の値は対応するコントローラ・クラスの名前または 構成情報 を表します。

controllerNamespace

このプロパティは、コントローラ・クラスが配置されるべきデフォルトの名前空間を指定するものです。 デフォルト値は app\controllers です。 コントローラ ID が post である場合、規約によって対応するコントローラの (名前空間を略した) クラス名は PostController となり、完全修飾クラス名は app\controllers\PostController となります。

コントローラ・クラスは、この名前空間に対応するディレクトリのサブ・ディレクトリに配置されても構いません。 例えば、コントローラ ID として admin/post を仮定すると、対応するコントローラの完全修飾クラス名は app\controllers\admin\PostController となります。

重要なことは、完全修飾されたコントローラ・クラスが オートロード可能 でなければならず、 コントローラ・クラスの実際の名前空間がこのプロパティと合致していなければならない、ということです。 そうでないと、アプリケーションにアクセスしたときに "ページがみつかりません" というエラーを受け取ることになります。

上で説明された規約を破りたい場合は、 controllerMap プロパティを構成することが出来ます。

language

このプロパティは、アプリケーションがコンテントをエンド・ユーザに表示するときに使うべき言語を指定するものです。 このプロパティのデフォルト値は en であり、英語を意味します。 アプリケーションが多言語をサポートする必要があるときは、このプロパティを構成しなければなりません。

このプロパティの値が、メッセージの翻訳、日付の書式、数字の書式などを含む 国際化 のさまざまな側面を決定します。 例えば、yii\jui\DatePicker ウィジェットは、どの言語でカレンダーを表示すべきか、 そして日付をどのように書式設定すべきかを、デフォルトでは、 このプロパティを使用して決定します。

言語を指定するのには、IETF 言語タグ に従うことが推奨されます。 例えば、en は英語を意味しますが、en-US はアメリカ合衆国の英語を意味します。

このプロパティに関する詳細は 国際化 のセクションで読むことが出来ます。

modules

このプロパティはアプリケーションが含む モジュール を指定するものです。

このプロパティは、モジュールの ID をキーとする、モジュールのクラスまたは 構成情報 の配列です。 例えば、

[
    'modules' => [
        // モジュール・クラスで指定された "booking" モジュール
        'booking' => 'app\modules\booking\BookingModule',

        // 構成情報の配列で指定された "comment" モジュール
        'comment' => [
            'class' => 'app\modules\comment\CommentModule',
            'db' => 'db',
        ],
    ],
]

詳細は モジュール のセクションを参照してください。

name

このプロパティは、エンド・ユーザに対して表示されるアプリケーション名を指定するものです。 id プロパティがユニークな値を取らなければならないのとは違って、 このプロパティの値は主として表示目的であり、ユニークである必要はありません。

コードのどこにも使わないのであれば、このプロパティは必ずしも構成する必要はありません。

params

このプロパティは、グローバルにアクセス可能なアプリケーション・パラメータの配列を指定するものです。 コードの中のいたる処でハードコードされた数値や文字列を使う代りに、それらをアプリケーション・パラメータとして一ヶ所で定義し、 必要な場所ではそのパラメータを使うというのが良いプラクティスです。 例えば、次のように、サムネール画像のサイズをパラメータとして定義することが出来ます。

[
    'params' => [
        'thumbnail.size' => [128, 128],
    ],
]

そして、このサイズの値を使う必要があるコードにおいては、下記のようなコードを使うだけで済ませることが出来ます。

$size = \Yii::$app->params['thumbnail.size'];
$width = \Yii::$app->params['thumbnail.size'][0];

後でサムネールのサイズを変更すると決めたときは、アプリケーションの構成情報においてのみサイズを修正すればよく、 これに依存するコードには少しも触れる必要がありません。

sourceLanguage

このプロパティはアプリケーション・コードが書かれている言語を指定するものです。デフォルト値は 'en-US'、アメリカ合衆国の英語です。 あなたのコードのテキストのコンテントが英語以外で書かれているときは、このプロパティを構成しなければなりません。

language プロパティと同様に、このプロパティは IETF 言語タグ に従って構成しなければなりません。 例えば、en は英語を意味しますが、en-US はアメリカ合衆国の英語を意味します。

このプロパティに関する詳細は 国際化 のセクションで読むことが出来ます。

timeZone

このプロパティは、PHP ランタイムのデフォルト・タイム・ゾーンを設定する代替手段として提供されています。 このプロパティを構成することによって、本質的には PHP 関数 date_default_timezone_set() を呼び出すことになります。 例えば、

[
    'timeZone' => 'Asia/Tokyo',
]

タイム・ゾーンを設定することの意味合いについては、日付のフォーマッティングのセクション で詳細を参照して下さい。

version

このプロパティはアプリケーションのバージョンを指定するものです。デフォルト値は '1.0' です。 コードの中で全く使わないのであれば、必ずしも構成する必要はありません。

有用なプロパティ

この項で説明されるプロパティは通常は構成されません。というのは、そのデフォルト値が通常の規約に由来するものであるからです。 しかしながら、規約を破る必要がある場合には、これらのプロパティを構成することが出来ます。

charset

このプロパティはアプリケーションが使う文字セットを指定するものです。 デフォルト値は 'UTF-8' であり、多数の非ユニコード・データを使うレガシー・システムを扱っている場合を除けば、たいていのアプリケーションでは、そのままにしておくべきです。

defaultRoute

このプロパティは、リクエストがルートを指定していないときにアプリケーションが使用すべき ルート を指定するものです。 ルートは、チャイルド・モジュール ID、コントローラ ID、および/または アクション ID を構成要素とすることが出来ます。 例えば、helppost/createadmin/post/create などです。 アクション ID が与えられていない場合は、yii\base\Controller::$defaultAction で指定されるデフォルト値を取ります。

ウェブ・アプリケーション では、このプロパティのデフォルト値は 'site' であり、 その意味するところは、SiteController コントローラとそのデフォルト・アクションが使用されるべきである、ということです。 結果として、ルートを指定せずにアプリケーションにアクセスすると、app\controllers\SiteController::actionIndex() の結果が表示されます。

コンソール・アプリケーション では、デフォルト値は 'help' であり、 コア・コマンドの yii\console\controllers\HelpController::actionIndex() が使用されるべきであるという意味です。 結果として、何も引数を与えずに yii というコマンドを実行すると、ヘルプ情報が表示されることになります。

extensions

このプロパティは、アプリケーションにインストールされて使われている エクステンション のリストを指定するものです。 デフォルトでは、@vendor/yiisoft/extensions.php というファイルによって返される配列を取ります。 extensions.php は、Composer を使ってエクステンションをインストールすると、自動的に生成され保守されます。 ですから、たいていの場合、このプロパティをあなたが構成する必要はありません。

エクステンションを手作業で保守したいという特殊なケースにおいては、次のようにしてこのプロパティを構成することが出来ます。

[
    'extensions' => [
        [
            'name' => 'extension name',
            'version' => 'version number',
            'bootstrap' => 'BootstrapClassName',  // オプション、構成情報の配列でもよい
            'alias' => [  // optional
                '@alias1' => 'to/path1',
                '@alias2' => 'to/path2',
            ],
        ],

        // ... 上記と同じように、更にエクステンションを構成 ...

    ],
]

ご覧のように、このプロパティはエクステンションの仕様を示す配列を取ります。 それぞれのエクステンションは、nameversion の要素を含む配列によって指定されます。 エクステンションが ブートストラップ の過程で走る必要がある場合には、bootstrap 要素をブートストラップのクラス名または 構成情報 の配列によって指定することが出来ます。 また、エクステンションはいくつかの エイリアス を定義することも出来ます。

layout

このプロパティは、ビュー をレンダリングするときに使われるべきデフォルトのレイアウトを指定するものです。 デフォルト値は 'main' であり、レイアウト・パス の下にある main.php というファイルが使われるべきことを意味します。 レイアウト・パスビュー・パス の両方がデフォルト値を取る場合、デフォルトのレイアウト・ファイルは @app/views/layouts/main.php というパス・エイリアスとして表すことが出来ます。

滅多には無いことですが、レイアウトをデフォルトで無効にしたい場合は、このプロパティを false として構成することが出来ます。

layoutPath

このプロパティは、レイアウト・ファイルが捜されるべきパスを指定するものです。 デフォルト値は、ビュー・パス の下の layouts サブ・ディレクトリです。 ビュー・パス がデフォルト値を取る場合、デフォルトのレイアウト・パスは @app/views/layouts というパス・エイリアスとして表すことが出来ます。

このプロパティはディレクトリまたはパス・エイリアス として構成することが出来ます。

runtimePath

このプロパティは、ログ・ファイルやキャッシュ・ファイルなどの一時的ファイルを生成することが出来るパスを指定するものです。 デフォルト値は、@app/runtime というエイリアスで表現されるディレクトリです。

このプロパティはディレクトリまたはパス・エイリアス として構成することが出来ます。 ランタイムパスは、アプリケーションを実行するプロセスによって書き込みが可能なものでなければならないことに注意してください。 そして、この下にある一時的ファイルは秘匿を要する情報を含みうるものですので、ランタイム・パスはエンド・ユーザによるアクセスから保護されなければなりません。

このパスに簡単にアクセスできるように、Yii は @runtime というパス・エイリアスを事前に定義しています。

viewPath

このプロパティはビュー・ファイルが配置されるルート・ディレクトリを指定するものです。デフォルト値は、@app/views というエイリアスで表現されるディレクトリです。 このプロパティはディレクトリまたはパス・エイリアス として構成することが出来ます。

vendorPath

このプロパティは、Composer によって管理される vendor ディレクトリを指定するものです。 Yii フレームワークを含めて、あなたのアプリケーションによって使われる全てのサード・パーティ・ライブラリを格納するディレクトリです。 デフォルト値は、@app/vendor というエイリアスで表現されるディレクトリです。

このプロパティはディレクトリまたはパス・エイリアス として構成することが出来ます。 このプロパティを修正するときは、必ず、Composer の構成もそれに合せて修正してください。

このパスに簡単にアクセスできるように、Yii は @vendor というパス・エイリアスを事前に定義しています。

enableCoreCommands

このプロパティは コンソール・アプリケーション においてのみサポートされています。 Yii リリースに含まれているコア・コマンドを有効にすべきか否かを指定するものです。デフォルト値は true です。

アプリケーションのイベント

アプリケーションはリクエストを処理するライフサイクルの中でいくつかのイベントをトリガします。 これらのイベントに対して、下記のようにして、アプリケーションの構成情報の中でイベント・ハンドラをアタッチすることが出来ます。

[
    'on beforeRequest' => function ($event) {
        // ...
    },
]

on eventName という構文の使い方については、構成情報 のセクションで説明されています。

別の方法として、アプリケーションのインスタンスが生成された後、ブートストラップの過程 の中でイベント・ハンドラをアタッチすることも出来ます。 例えば、

\Yii::$app->on(\yii\base\Application::EVENT_BEFORE_REQUEST, function ($event) {
    // ...
});

EVENT_BEFORE_REQUEST

このイベントは、アプリケーションがリクエストを処理する にトリガされます。実際のイベント名は beforeRequest です。

このイベントがトリガされるときには、アプリケーションのインスタンスは既に構成されて初期化されています。 ですから、イベント・メカニズムを使って、リクエスト処理のプロセスに干渉するカスタム・コードを挿入するのには、ちょうど良い場所です。 例えば、このイベント・ハンドラの中で、何らかのパラメータに基づいて yii\base\Application::$language プロパティを動的にセットすることが出来ます。

EVENT_AFTER_REQUEST

このイベントは、アプリケーションがリクエストの処理を完了した 、レスポンスを送信する にトリガされます。 実際のイベント名は afterRequest です。

このイベントがトリガされるときにはリクエストの処理は完了していますので、この機をとらえて、 リクエストに対する何らかの後処理をしたり、レスポンスをカスタマイズしたりすることが出来ます。

response コンポーネントも、エンド・ユーザにレスポンスのコンテントを送出する間にいくつかのイベントをトリガすることに注意してください。 それらのイベントは、このイベントの にトリガされます。

EVENT_BEFORE_ACTION

このイベントは、コントローラ・アクション を実行する に毎回トリガされます。 実際のイベント名は beforeAction です。

イベントのパラメータは yii\base\ActionEvent のインスタンスです。 イベント・ハンドラは、yii\base\ActionEvent::$isValid プロパティを false にセットして、アクションの実行を中止することが出来ます。 例えば、

[
    'on beforeAction' => function ($event) {
        if (何らかの条件) {
            $event->isValid = false;
        } else {
        }
    },
]

同じ beforeAction イベントが、モジュールコントローラ からもトリガされることに注意してください。 アプリケーション・オブジェクトが最初にこのイベントをトリガし、次に (もし有れば) モジュールが、 そして最後にコントローラがこのイベントをトリガします。 いずれかのイベント・ハンドラが yii\base\ActionEvent::$isValidfalse にセットすると、後続のイベントはトリガされません。

EVENT_AFTER_ACTION

このイベントは、コントローラ・アクション を実行した に毎回トリガされます。 実際のイベント名は afterAction です。

イベントのパラメータは yii\base\ActionEvent のインスタンスです。 yii\base\ActionEvent::$result プロパティを通じて、イベント・ハンドラはアクションの結果にアクセスしたり、またはアクションの結果を修正したり出来ます。 例えば、

[
    'on afterAction' => function ($event) {
        if (何らかの条件) {
            // $event->result を修正する
        } else {
        }
    },
]

同じ afterAction イベントが、モジュールコントローラ からもトリガされることに注意してください。 これらのオブジェクトは、beforeAction の場合とは逆の順でイベントをトリガします。 すなわち、コントローラ・オブジェクトが最初にこのイベントをトリガし、次に (もし有れば) モジュールが、 そして最後にアプリケーションがこのイベントをトリガします。

アプリケーションのライフサイクル

アプリケーションのライフサイクル

エントリ・スクリプト が実行されて、リクエストが処理されるとき、 アプリケーションは次のようなライフサイクルを経ます。

  1. エントリ・スクリプトがアプリケーションの構成情報を配列として読み出す。
  2. エントリ・スクリプトがアプリケーションの新しいインスタンスを作成する。
    • preInit() が呼び出されて、basePath のような、 優先度の高いアプリケーション・プロパティを構成する。
    • エラー・ハンドラ を登録する。
    • アプリケーションのプロパティを構成する。
    • init() が呼ばれ、そこから更に、ブートストラップ・コンポーネントを走らせるために、 bootstrap() が呼ばれる。
  3. エントリ・スクリプトが yii\base\Application::run() を呼んで、アプリケーションを走らせる。
    • EVENT_BEFORE_REQUEST イベントをトリガする。
    • リクエストを処理する: リクエストを ルート とそれに結び付くパラメータとして解決する。 ルートによって指定されたモジュール、コントローラ、および、アクションを作成する。そしてアクションを実行する。
    • EVENT_AFTER_REQUEST イベントをトリガする。
    • エンド・ユーザにレスポンスを送信する。
  4. エントリ・スクリプトがアプリケーションから終了ステータスを受け取り、リクエストの処理を完了する。

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